ボロン・ボ・ローン|ライブハウス経営者の日記

こんにちは、未来のライブハウス経営者、ボロンボローンです。 愛知で絶賛活動中!愛知から世界へ羽ばたくバンドマンを応援すると共に、自らもバンドマンとして活動中!

おばあちゃんのお話

 こんにちは。物件隊長を任されているカリですが、今回は特に書くべき内容が浮かばないので、個人的なことをつらつらと書こうと思います。

 

 一昨日の夜、86歳になる祖母が救急車で運ばれたと父から連絡を受けました。歳も歳だし、初めてのことではないし、特に焦りはせず、どんな様子か聞きました。簡単に言うと肺炎でした。祖母は糖尿病も患っていて、いろんな合併症もあるみたいでした。その辺は詳しく聞いてないのでわかりませんが、ともかく本日お見舞いに行ってきました。

 この辺りでは大きめの病院で、〇〇県病院とか〇〇中央病院とか、そんな感じの病院です。一般の入院病棟ではなく、ナースステーションの隣にある部屋で、落ち着いたら一般病棟に移るとのことでした。僕が行くと、叔母と、祖父がお見舞いに来てました。祖父は本当は今日はショートステイを利用している日でしたが、叔母に連れて来てもらって来ていたのでした。

 祖母は目は開けていましたが、トロンと眠そうな表情をして、入れ歯をしてないから、頬がいつもよりこけて、なんだか1ヶ月前に会った時よりずいぶん痩せてました。鼻には酸素が行くように管が通ってて(口に付ける酸素マスクは自分で取ってしまうそう)、点滴もしてるし、心電図の線とかいろいろ体についてて、なんだか邪魔くさそう。ちょっとびっくりというか、悲しくなったけど、いつもの感じを装って、叔母が用意してくれたベッドの脇の椅子に座りました。叔母から簡単に病状を聞いて、「今は落ち着いたけど、まぁ歳やでねぇ、いつでも覚悟しておかないかんよ」と言われ、少しザワザワしてしまいました。祖父は「よう来てくれたね」といつものように話し、救急車に運ばれた時のことや、その後のことを僕にずっと話しました。きっと不安だったんだなと思い、僕は「うん、うん」とうなづいていました。

 祖母も僕の存在に気づいてくれたのか「ありがと、ありがと」と。でも二言目には「仕事はえぇのか。はよう帰らんと忙しいやろ」と気遣いの言葉ばかりで、相変わらずでした。

 しばらくして、祖父がショートステイ先に戻らないといけないので、先に祖父と叔母は帰りました。帰り際に、車椅子の祖父は身を乗り出して、祖母の手を握り、「また来るで、しっかりせんといかんよ」と。祖母も強く握り返してました。

 祖父母は元々二人暮らしをしてて、僕は月に一回くらい顔を出すようにしていました。いつ行っても祖父は僕に、お菓子や美味しいものを食べさせたくて、いろんなものを持たせようとしてくれるのですが、祖母にお菓子を持ってこさせるのです。「おい、あれ持ってきて」「あれどこやった」みたいな感じで。祖母は「自分でやれ!」と文句を言いながら持ってくるのです。それでいつも祖母は、全然動かない祖父の悪口を延々と僕に話すのです。僕は苦笑いをして聞くのです。時には昔の話を持ち出して、「昔はお金もなくて、食べるのも大変で、3畳くらいの部屋を借りて、あんたのお父さんと叔母さんと、4人で住んでたんやで。それなのに、仕事終わって帰る前に、おじいちゃん遊んできて、全部給料使ってまってな」と祖母。「もうその話はやめい」と祖父。昔の祖父は遊び人だった様です。そんな苦労話を何回も何回も聞いて、何もしなくていい、ゆっくり流れる田舎の時間を過ごすのです。時々うたた寝しながら。

 そんな風に、やんややんやと言い合ってる二人ばかり見てきたから、静かに手をとり合うのを見て、なんだか恥ずかしいような、なんとも言えない優しい気持ちになるのでした。

 

 病室で2人になってからも、祖母は気を使って「あんた遅くなる前に帰りいよ」とか「なんも用事ないんか」としつこく言います。そんなに言われたら逆に早く帰ってほしいのかな?と思ってしまうくらい(笑)。でもそんなわけじゃなくて、本当に気を使う人なんですよ。孫にまで。

 僕は仕事の話とか、友達とライブハウス、喫茶店みたいなものを始めようと思っているということを簡単に話しました。

 「あんた、お金のこととか、いろいろ気をつけなあかんよ」

 「うん。気をつけないといかんね」

 「あんた、仏さんのとこ(仏壇)の左のとこにな、黒いカバンがあるでな、そこに5万円入っとるでな」

 「何それ、へそくり?」

 「へそくりや。あとな、もうばあちゃんたぁは指輪とかせんやろ。やで売ってまったんや」

 「売りに行ったの?」

 「なーに、電話来てな、売りませんかって。それで1万5千円がカバンに入っとるで」

 「それ騙されてない?」

 「騙されとるて」

 「え?騙されてんの!?(笑)」

 「騙されとるけど、いいんや。騙した人はバチ当たるで。とにかくお金持ってきゃあよ」

 「うん、ありがとう。いざとなったら使うね」

 「あと今度来るとき、入れ歯持ってきて。ご飯たべれるようになったらいるから、看護婦さんが持ってきてって言っとったで」

 「わかったよ。持ってくる」

 「おじいちゃんが、まぁタケノコ食べたいって言うやろ。お父さんにお願いしたらな、こんだけばか(り)しか持ってこうへんかったわ」

 「そっか。じゃあタケノコのお惣菜も持ってくるね」

 「ありがとう」

 

 そう言って、また静かに寝るのでした。静かに時間は流れて、「また来るね」と言って帰りました。

 

 おばあちゃんもおじいちゃんもいつまでも元気でいてほしいけど、元気さを求めるのもなんだか、気が引けて、ただ会える時に会いに行こうと、そう思うのでした。

 いざとなれば、おばあちゃんのヘソクリと騙されて指輪を売って得たお金があるから、心強い!今日も1日がんばるぞー!