ボロン・ボ・ローン|ライブハウス経営者の日記

こんにちは、未来のライブハウス経営者、ボロンボローンです。 愛知で絶賛活動中!愛知から世界へ羽ばたくバンドマンを応援すると共に、自らもバンドマンとして活動中!

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2016 in EZO 〜面の皮アツアツのアホ3人旅〜 後編

前回に引き続き、ライジングサンの体験を記録していきます。

ノープランと万全ではないコンディションで臨んだ、初のライジングサン。野外フェスでのテント泊も初めてのアホ3人組のお話です。

 

初日(8月12日)

 前編でも書いたように、他人任せの3人組はうっかり駐車場の券を買うのを忘れていたため、一人は最寄りのパーキング(手稲駅)まで車を停めに行く羽目になり、2人は大荷物(キャリーバッグ3つ、テント、食料、ダンボールたくさん)を抱え、テントサイトまでくじけそうになりながらも歩くのでした。

 北海道と言えど、夏のど真ん中、照りつける太陽に汗は流れ続けます。周りを見渡すと、同じくテント泊をする人たちが、台車に荷物を乗せて悠々と歩いていきます。歩くこと20分。なんとかテントサイトにたどり着き、持ってきたポカリをがぶ飲みします。テントサイトは大まかに区分けられ、自分たちの区画を探します。すでにテントはいっぱい立っていて(前日からテントを立てれる模様)、「ホタテの6列の7行」の場所を数えながら進みます。

 テントとテントの間の細い道を進むと、恐らく僕たちの場所であろう区画に、すでにテントを立てている大学生くらいの男女がいます。大雑把な区画と、目印もないので、自分たちが数え間違えたのかもしれない。そう思って声をかけると、丁寧に教えてくれます。すると隣のお節介おばちゃんも出現し、ここは「◯列の△行だよ」「え?◯列の×行でしょ」すると別のお兄さんも「◇列の△行だよ」と、にわかに混乱が広がっていきます。僕らがアホで無知で声をかけたばっかりに、平穏だったテントサイトの秩序が崩壊されてしまった、、、。という大げさなこともなく、どうやら僕らの本来の場所に、大学生の子らがテントを立ててしまった模様。僕らも場所にこだわりはなかったので、そこを譲り、彼らの場所を僕らの拠点とすることにしました。間違ったっていいじゃないフェスだもの。

 とにかくやっと荷物を降ろせる。荷物を降ろしても、相変わらず太陽はキツめに照らしてきます。とりあえず雑草を少し抜いて整地し、その上にダンボールを敷き、簡易テントを立てて、一息つきます。14時。一番大きなSUN STAGEでは、15時からONE OK ROCKがオープニングを飾ります。とりあえず、ビールをということで、車を停めに行ったソイとは合流を果たせていませんが、一杯ひっかけます。お店は北海道の名物の豚丼や、ラーメン、釜で焼いたピザ、かき氷、スープカレー等々、だいぶ充実しており、お客さんもさほど混雑しておらず、割とスムーズに買うことができます。簡易のコンビニで、ローソンとサンクスもあるので、便利。ポカリやマッチなどの飲料水だけ売っている店も充実していて、熱中症対策も万全でした。充電スポットもあり、コンセントの穴はいっぱい。そこで炊飯器で米を炊く面の皮アツアツの強者もいます。野外フェスもここまで便利になったのか、と感心しました。

 

ライブスタート

 15時になり、各ステージでライブが始まります。どこにいても音楽が流れ聴こえてきます。僕とボロンはPUFFYが始まるまで、indigo la Endを初っ端に見ることにしました。indigo la Endはご存知の方もいるかと思いますが、「ゲスの極み乙女」のメンバー川谷絵音が、同じくボーカルとして活動しているバンドです。全然関係ないけど「絵音」って、いかにも芸術的センスを備えていそうな名前。

 20分ほど楽しんだ後、PUFFYのステージに移動します。決して大きくはないステージで、案の定の超満員。屋根のある屋内っぽい会場で、お客さんは入りきらずに、外にはみ出ている始末。「PUFFYはもっと大きいステージでしょう」という声がどこからともなく聞こえてきます。そういえば野外フェスのステージはどのように割り振られるんでしょうね。知名度?人気?旬?事務所の力?スタッフの推し?

 そんなことを考えていると、PUFFYの入場曲のハイスタが流れ始め、会場は一気に沸き立ちます。なぜかボロンはこの入場曲でピークになってた。PUFFYを生で見るのは初めてでしたが、由美も亜美も小さい。そして可愛い。本当に40歳過ぎてるのか!?

 ライブは「アジアの純真」から「渚にまつわるエトセトラ」から「これが私の生きる道」「サーキットの娘」ほとんど知ってる曲ばかりで大盛り上がり。PUFFYの曲といえば、奥田民生。前述したヒット曲も全部奥田民生プロデュースで、さらに奥田民生の後ろから見え隠れするビートルズっぽいサウンドが、まさにいい感じ〜でした。

 

 次に「Suchmos」というバンドを見ました。僕は初めて聴いたのですが、今注目されているバンドだそうで、なんでもJAZZ&HIP HOPなどブラックミュージックにインスパイアされたバンドだそう。なるほど、思わず首をカクカクさせてしまうリズムに、ファンキーなベース、なかなかの中毒性のある音楽です。ボーカルも爽やかイケメンで、こりゃ人気出る。

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 その後、休憩がてらBABY METALを遠目から覗いて、LIFE IS GROOVEへ。KenKenは相変わらずのテクニシャンで、竜之介君も楽しそうに演奏しています。ムッシュかまやつは体調不良でいませんでした。横浜のグリーンルームフェスでも体調不良でいなかったので、少し心配です。KenKenや竜之介君もすごいのですが、サポートの人たちもすごいのです。特にドラムの女性が、かっこいいなぁと思って調べてみると、SATOKOさんというそうで、「FUZZY CONTROL」というロックバンドのメンバー。そして父親は「手数王」の異名を持つジャズドラマーの菅沼孝三ということを知り、知らなかった自分を少し恥じました。なおSATOKOさんは2日目のスガシカオのサポートドラムもしていて、こちらもかっこよかったです。

 KenKenはこの後も、いろんなところで登場していました(普通に飲み歩いてもいました)。ライジングサンを一番楽しんでるのもこの人かもしれない。

 

 すっかり日も暮れた頃、ソイと合流し、エレファントカシマシを見ました。相変わらずの白シャツに黒いパンツ。ボサボサの髪をかき上げて、目を見開き、必死に歌う姿は心を打たれます。エレカシは、さぁがんばろぉうぜぃ〜で始まる「俺たちの明日」や、「風に吹かれて」など、鬱屈した日常を送る人たちを励ましてくれるような、元気をもらえるような、そんな曲がいっぱいです。僕らの隣で見ていた女の子は、感動して涙を拭いていました。

 そして名曲「今宵の月のように」で、会場は一気に盛り上がります。星を見上げる人も。先ほどまで泣いていた隣の女の子は、テンションが上がり、空を指差して「あれ、衛星ですよ」と急に僕に話しかけてきます。「え?あれ?え?」と急すぎて、きょどってしまいましたが、要するに一体感ある会場でした。

 

 すっかり暗くなりましたが、ステージの照明や、至る所にオシャレなオブジェの明かりがあり、またカフェやBarにはミラーボールがあり、夜は夜の雰囲気を楽しめます。深夜には飲食店は閉まってしまうのかと思っていたけれど、意外とそうでもないみたいでした。

 エレカシの後、僕たちはペトロールズを少しだけ聴きに行きました。ペトロールズは浮雲がギターボーカルをするスリーピースバンドで、以前、愛知県の蒲郡のフェス「森、道、市場」で見かけて好きになりました。高い演奏技術と大人のムーディーな声にやられます。僕は特に「FUEL」という曲のドラムのコーラスの「ヘィ」という掛け声がクセになるほど好き。

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 次にサンボマスターを見に行きました。一応二番目に大きなステージ?ですが、屋根ありのところで、入場規制が出るほどの超満員。今日一番盛り上がってるんじゃないかっていうくらいでした。サンボマスターはMCも含めて、何かこうグッとくるものがあるというか、ライブでこそ伝わる何かがあります。この人たちは本当に伝えたいことがあって、音楽してるんだなぁと思えるバンドの一つです。

 

 23時以降は通し券持っている人しか会場に入れません。23時以降は、ソイとボロンは布袋さんを見に、僕は真心ブラザーズのフォーク村夏祭りを見に行きました。

 フォーク村ということで、キャンプファイヤーにあたりながら、懐かしのフォークソングを聴きます。ゲストが代わる代わる登場して、トータス松本吉田拓郎の曲を歌ったり、水曜日のカンパネラが中島みゆき「ファイト」を歌ったり、とてもゆったりとしていい雰囲気でした。疲れと、いい雰囲気すぎて、寝ている人もたくさんいました。

 

 気づくと日付は変わり、深夜2時頃。お腹が少し減りましたが、疲労と眠気でテントに向かいます。ソイとボロンはとっくに寝ていると思って戻ると、二人の姿は見えず。どうやらお腹が減ってカレーを食べに行った模様。僕は寝袋を準備し、寝にかかると、ボロンからLINEで、女の子に逆ナンされたから連れて帰るとの報告。何をしょうもない冗談を、と思い横になっていると、ガサゴソとテントが開く音が。見るとボロンが玉のような女の子をおんぶしているではありませんか。しかし体力の限界を迎えていた僕は、「これが、フェスか、、、」と言い残して、再び寝袋に入り込みました。結局ソイとボロンは女の子をすぐ元の場所に戻して、無事帰宅。歯磨きをして眠りました。あれは夢だったのかな。

 

2日目(8月13日)

 前日の疲労困憊の体を考えれば、昼まで寝ていてもおかしくないコンディション。しかしきっちり朝6時に目が覚めました。なぜか。テントの中が暑すぎる。夜はあんなに寒かったのに。太陽の光で、テントの中はアッツアツ。仕方なく起きて、顔を洗いに行きます。手洗い場は大渋滞。トイレの後手を洗う人、歯磨きする人もいますが、髪の毛洗う人もいて、大渋滞してるわけです。僕たちは行列の中、シャンプーを持って堂々と髪を洗うほど、面の皮厚人にはなりきれず我慢します。簡易シャワーもあるようですが、予約がいるとのことで、それはすでに断念していました。前日に買ったウェットティッシュで全身を拭いて、少しはサッパリしたけれど、やっぱり気持ち悪い。テントの中は暑いし、睡眠不足で、疲労は残ったまま。

 

 体調不良で来れなかったタコのためにTシャツを買いに、グッズショップに行きました。1日目は大行列でとても並ぶ気にはなれなかったけど、今日は10時にショップが開く前に行けば並ばずに済むと思い行ってみると、すでに並んでる、、、。それでも昨日ほどではなかったので思い切って並びます。現金とカードで列が違うようで、カードの方が空いてたので、そちらに並びます。行列に対して、対応するスタッフの数少なくね?とかブツブツ思いながら、カードを持ってるソイに並ぶのを途中で任せて、僕とボロンは隣で見守ることにしました。各アーティストのグッズも見てみましたが、結構売り切れてて、どうしても欲しいものがある場合は、やはり並んででも前日に買うべきだと思いました。

 

 無事Tシャツを買い、カフェのテントで休みながら、遅めの朝食でグリーンカレーを食べます。そこに昨夜の女の子が働いてました。「よう」とハイタッチするソイ。あれは夢ではなかった。グリーンカレーは香辛料の効いた、程良い辛さで、お世辞抜きにうまい。おかわりしようかと本気で悩むほどでした。うまいという噂が広がったのか、夜には行列のできる店になってました。

 カレーで少し元気を取り戻し、昼頃になって手洗い場が空いていたので、髪の毛を洗ってサッパリ。すごい解放感。

 

 ライブに行く元気が出てきたので、スガシカオを少し見た後、寝転びながら大黒摩季を聞きました。心地の良い風で、いつの間にか寝てしまいました。やっぱり北海道。何もしなくても、それはそれで最高です。

 小一時間寝たところで、RIP SLYMEが始まりました。僕たちは所々、積まれている干草の上に登って見ました。ボロンとソイは30分後に始まる「the pillows」を見るために、早めに移動しました。pillowsは僕らがコピーしてるバンドでもあるので、やっぱり見たい。でも僕はRIP SLYMEも少し見たい。欲張りな僕はRIP SLYMEの好きな曲「One」を聴いたら行こうと決めました。

 ボロンとソイが干草から降りると同時に、一人の女性が「隣いいですか?」と。断る理由などありません。干草の上に座る二人。ボロンとソイはニヤニヤと僕を見て、pillowsに向かいました。何か新しい出会いの予感を感じつつ、奥手男子の僕は話しかけることもできず座っていると、向こうから「どこから来たんですか?」と。驚きのあまり「名古屋です」と、つい岐阜県民の誇りを捨てて、名古屋人ぶってしまいました。一生の不覚。しかし一度話し始めると、スムーズに話が続き、これがフェスの醍醐味かと会話を楽しみました。そうこうしてると僕の好きな「黄昏サラウンド」が夕日をバックに流れます。いい感じのムード。さらに「One」も始まって、最高潮です。しかし僕は「One」と共に去らなければいけません。pillowsが僕を待っている。浮気者の僕を許しておくれ。そう心の中でつぶやき、女性にお別れを言って、そこを去りました。後で連絡先を聞かなかった僕は、ソイとボロンに説教されました。

 

 急いでpillowsに向かう途中、ちっちゃめのテントステージでKenKenが演奏していました。SATOKOさんがドラムです。思わず立ち止まって、一曲だけ聴いてしまいました。イカンイカンとpillowsの会場へ向かいます。

 pillowsでは僕の好きな「ハイブリッドレインボウ」が聞けたし、バンドで演奏している「funny bunny」も聴けたので大満足でした。

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 その後すぐに、慌ただしく「cero」の会場に向かいました。ceroを生で見るのは初めてだったので、どんなパフォーマンスをするのか楽しみでした。バンドの後ろのスクリーンにプロジェクターで古い映画のシーンや、独特な映像を流し、それとマッチする愉快な音楽。ファンタジーであり都会的、そんな感じでした。

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 ボロンとソイは、pillowsで最前列で全ての力を使い果たし。持ってきたカップ麺で腹ごしらえして、テントで少し休みます。

 気づくとすっかり暗くなっていて、ソイはライブを見に、僕とボロンはバーでビールを飲みながら、花火を見ることにしました。KenKenがビール片手に歩いていて、なんだかでかく見えました。飛び入り参加のテントステージが始まったところで、ボロンは寒い寒いと言い、テントに寝に戻り、その後もついに目覚めることはありませんでした、、、。

 ステージではKenKenと中村達也、そこにReiが加わってジャムセッションを披露。かっこよすぎでした。

 まったりと過ごしていると、「七尾旅人」のライブを見てきたソイが興奮冷めやらぬ面持ちで戻ってきました。七尾旅人のムチャにより、会場は大盛り上がりだったとか。七尾旅人はお客さんに肩車されて演奏し、そのままあっちへふらふらこっちへふらふら。何を思ったか屋根に登ろうとしたり、木に登ろうとしたり、ソイは土台となって七尾旅人を持ち上げ、しまいには木を折ってしまう始末。時間も延びに延びて、ソイは「最高だった」と一言。

 大満足した後、僕たちはテントに戻り、日の出まで休みました。

 

 空がうっすらと明るくなってきた頃、目が覚めると、メインステージの「BRAHMAN」の演奏が聴こえてきます。本当に日の出までやるんだなと、感心し、太陽が昇る方を3人でぼーっと眺めます。少し雲があったけれど、オレンジ色の朝日を浴びて、澄んだ空気を吸いこむと気持ち良かったです。

 

 疲れは否めず、生まれたてのゾンビのようにのろのろとテントを片付け、配られたゴミ袋にゴミを分別します。テントは会場から郵送で送ることができました。

 片付けも終え、さっさとタクシー乗り場に向かい、手稲駅まで行きます。3000円くらいだったかな。タクシーの運転手さんに近くの銭湯を聞いて、車に戻ったらすぐさま銭湯に向かいました。

 全員満身創痍で、銭湯でもグッタリ。そして、想定通りソイは風邪を引きました。美味しいラーメンを体に流し込むも、ソイのうまいもんバロメーターの目は一切開かず。限界を迎えたソイ病院に駆け込んだのでした。なさけない。

 

 帰りの空港はお盆の帰省ラッシュと重なり、大混雑。飛行機も案の定遅れました。岐阜に着いた僕は最終のバスを逃し、キャリーバッグを片手に歩いて帰りました。コンビニでチューハイを買って、飲みながら帰り、なんだかんだで2時間半。

 疲れで酔いが回り、朦朧とする意識の中、「こんなにきつい旅は当分ごめんだ」と思うのでした。

 

 8月ももう終わります。あのきつかったノープランの旅から2週間以上が経ちました。僕の非日常もまた日常に変わっていきます。そしてなぜか「来年もまた行こう」とすでに思ってしまっているのです。

 

終わり

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